結局私は、ユーフォニウムのことが忘れられない。
夢は、願望を映すと聞いたことがあります。その夢にたびたびユーフォが現れるってことは、いまだに好きなんだろうね。
前みたいに吹奏楽部に入ってバリバリ頑張ろうなんて気持ちはないけど、ギターやピアノより魅力を感じます。
運指も、音色も、音階も、ユーフォから離れてだいぶ時間がたったにも関わらず鮮明に思い出せます。
唇はなまっちゃったけど、それでも転部を考えていた時よりも上手く動きます。まるで、あの時はまだ復帰には早いと教えてくれたみたい。

ユーフォにはいろいろ悩まされたけど、充実した日々でした。
何時間もかけて掃除したり、長期休みになれば学校から家に大変な思いをして持って帰ったり、移動中に一緒に階段落ちしたり…。へこみだらけで、塗装はハゲてて、独特の香りがするけど、それは先輩たちが一生懸命練習した結晶なんだよね。(もっと大事にすべきだとは思いますが…。)
急に音色が悪くなったこともあったなぁ。マウスピースを差し込む菅がへこむことは恐ろしいことだと身をもって体感したりしてね。

やっぱり今の私の口は寂しい。
またあの振動を感じたい。
またあの香りに包まれたい。
またあの音色を奏でたい。


リサイクルショップで、私の手にも届く値段のお店があるらしいので、また出会えるといいな。